INTERVIEW2024.6.1

エネルギー業界の「激変」をチャンスに変える。新しい風を吹き込み、多種多様な「人」が輝ける環境へ。

INTERVIEW2024.6.1

エネルギー業界の「激変」をチャンスに変える。新しい風を吹き込み、多種多様な「人」が輝ける環境へ。

地域の人々に、電気を安定供給するという社会的意義の大きなミッションを掲げて事業を展開する四国電力・四国電力送配電(以下よんでん)。カーボンニュートラルや少子化による人口減少といった大きな時代のうねりの中、同社では、未来を見据えた新たな動きが起こっています。その動きを加速させるため、同社は今、海外経験、プロジェクトマネジメント経験、金融・財務・法務に関する知識、DX・データサイエンスに関する経験・技術など、幅広い分野で専門性をもった人材を必要としています。
よんでんの求める人材について、人事労務部・人事グループリーダーの辻幸司氏にお話を伺いました。採用現場に向き合う人事が何を考え、どのような点に注目しているのか、そのホンネをお聞きください。

大きな変化への対応と、新たな可能性への挑戦

溝渕
よんでんの現状や課題などについて、人事部門としてはどのように捉えていますか?
当社は、電気の安定的な供給によって地域の暮らしの安全・安心に貢献する、というミッションを掲げ、電気事業をコアとして様々な活動に取り組んできました。昨今は、IoTやAIなどのデジタル技術が進展し、ビジネスモデルの変革や新たなサービスが創出されるなど、産業構造や社会システムの在り方そのものが急速に変化する中で、電気事業においても歴史的な大きな転換期を迎えています。例えば、2020年の「送配電部門の中立化」、いわゆる電力自由化の流れを受け、発電と電力小売を行う「四国電力」と、電力の送配電を担う「四国電力送配電」に分社化されました。また、世界的なカーボンニュートラル、脱炭素の流れを受け、化石燃料に過度に依存しない電力のあり方を考えていく必要もあります。また、足元に目を移すと、四国の人口は他の地域に先駆けて減少を続けていることも事業への影響は大きいものです。

これらの状況を合わせると、これまで通りの事業展開では必ずしも明るい展望が見通せません。電気事業においては、事業基盤の強化と収益性の向上を図り、より効率性を高める、筋肉質な体制に移行する必要があると考えています。一方、電気事業以外の開拓も大事になってくると思います。東日本大震災以降、当社も大きく構造改革を進めていて、特に重点領域である情報通信事業や国際事業、蓄電池・VPP・デジタル技術などを活用した、新たな事業やサービスの拡大に取り組んでいるところです。
佐々木
事業環境の変化に伴って、必要とされる人材にも変化がありますか?
電気事業を取り巻く事業環境が大きく変化している中、社会や事業環境の「変化」をビジネスチャンスとして捉え取り組んでおり、電気事業、電気事業以外の分野の双方で、事業を推進するために専門能力を有する人材の採用と育成に取り組んでいます。特に電気事業以外の分野においては、国際事業部や新規事業部等、商社機能のようにファイナンスを組成し、新たなビジネスを生み出していく資質が必要です。安定的に電気を作って送る、弛まなく電気の供給を継続する、という電気事業の仕事と、国際事業の仕事では、課題やリードタイム、国内と海外という市場環境の大きな違いがあります。そういう意味では、これまでにない様々なポジションで人材を採用していく必要性が出てきています。
溝渕
今までは新卒採用がベースで、キャリア採用は補完的なものだったと思いますが、今後はキャリア採用の間口を広くしていこう、といった流れになるのでしょうか。
新卒採用が中心であることには変わりはありませんが、キャリア採用では即戦力としての活躍が期待できる方や高度な専門能力を有する人材と、過去の採用抑制等の影響でやや手薄になっている若手・中堅層の領域で特に採用を進めていこうと考えています。具体的な一例としては、国際事業や新規事業に関わる人材、またDX推進に関わるデータサイエンティストのスキルを持った人材、企業内外の法務に通じた人材などが必要になってきています。電気事業においても、DER、すなわち当社の発電する電力だけでなく、発電・蓄電の設備を持つ第三者のエネルギーリソースもトータルで捉え、自在に組み合わせてソリューションとして提案できる人材を求めています。
佐々木
既存の電気事業の変革だけではなく、新規事業や国際事業の展開など、様々な挑戦が目白押しのタイミングなので、試行錯誤の段階を楽しめ、新たな道を拓いていくことにやりがいを感じる人にとっては、この上ない環境だと言えそうですね。

DX推進にもいっそう力を入れる

溝渕
DX推進のための人材という話題も出ましたが、四国電力はDXに向け、明確なビジョンを策定されておられますね。
中期経営計画で、DX推進を重点課題の一つに掲げています。例えば、デジタル技術を活用した業務の自動化や削減、DX人材育成に向けた教育プログラム、育成制度の整備、データやデジタルを活用するための環境整備に重点的に取り組み、社員のパフォーマンスを最大化させることを目指しています。それとともに、各部門においても、リアルとデジタルの両面で顧客接点を充実させたり、デジタルやデータをフル活用するなど、既存サービスの多様化・高付加価値化、そして、新規事業や新サービスの創出にむけて段階的にDXに取り組んでいるところです。

よんでんの従業員数は5,000人規模ですので、組織の隅々にDXを浸透させるには、どうしてもパワーがかかるところがあります。そのため今は、ビジョンを明確に打ち出して強く旗を振っていくことが重要と考えています。
少子化で生産年齢人口の減少が避けられない中、事業継続・発展にDXは欠かせないと認識しています。四国電力として使命感をもってDXに継続的に取り組むことで、長期的な将来像である「四国地域のプラットフォーマー」として、様々な分野で革新的サービスを提供し、スマート社会への変革を主導できる企業になることを目指しています。
佐々木
組織がある程度の規模感になってくると、新たな動きを起こしていく時にはまずは思い切ったビジョンを示すことが重要ということですね。私もそのビジョンを拝見し、心躍る感覚がありました。テクノロジー活用の分野は進化のスピードも早いため、素早い意思決定が必要となってくる分野ですね。
電力会社の中では、よんでんは比較的経営と現場が近いことが特徴で、意思決定の早さは強みになっているところだと思います。また部署間の距離も近いので横連携の強さも特徴です。取り組むべき課題はたくさんありますのですべてが順調というわけではありませんが、あらゆる分野で進化や変革が起きていることは確かです。
溝渕
その動きを更に加速していくためにも、キャリア採用が重要になってきますね。現在の採用で課題に感じていることはありますか?
転職市場は活性化していますが、四国の人口は国内の3%程度であることから、そもそも、UIターンを希望される方が少ないということがまず大きな課題といえます。ただそれは言い訳になりませんので、四国へUIターンをしたいと考える方々に自社の活動、強みを伝えたいと考えていて、広報チャネルの拡大や、今回の取り組みのように、募集情報をよりイメージしやすい内容にして届けることで、キャリア採用の活用フィールドを広げていきたいと考えています。
佐々木
新卒の就職のタイミングでは東京など都市圏の企業を選んだけれど、いつかは地元にと考えている人も多いように感じますので、そういう人との接点をコツコツと増やしていくことも大事なことですね。
そうですね。当社としても、今すぐの転職という形で考えていなくても、将来的に四国で働きたいという漠然とした気持ちがあるという方との接点を大事にしていきたいと思います。

多様なバックグラウンドの掛けあわせで、イノベーションが生まれる

溝渕
キャリア採用の人材には、どんなことを期待していますか。
当社以外の風土や仕事の仕方を経験して、そこで培った能力や強みを活かして、「新しい風」を吹き込んでくれるような存在になってほしいですね。様々なバックグラウンドをもつキャリア採用の人材と、既存社員の強みを掛けあわせることで、新たなイノベーションを起こす原動力になるのではないか、と期待しています。外の世界を知っているからこそ、新たな視点で気づけることがあると思いますので、そういった意見を素直に受けいれていくことで、組織力や人材力が高まり、ビジネス変革や新しい価値の創造に繋がっていくのでは、と考えています。
佐々木
入社後のキャリアパスはどのようになっていますか。
これまでの経験や能力、適性等を踏まえて、総合的に判断をしていくことになります。
例えば、まずは経験が活かせる業務からスタートしていただき、個々の能力や適性をもとに、数年おきにジョブローテーションをしながら、幅広い業務を経験してキャリアを積んでいただくケースがあります。また、専門分野に特化した人材として入社をした場合では、その道のプロフェッショナルナルとして、計画的にキャリア形成をしていくケースもあります。
溝渕
どのような人がよんでんに合いそうでしょうか。
当社の場合、チームで仕事をするケースが大半です。チームの中で果たす役割を理解して、他のメンバーの声に耳を傾けながら調整を図る、という姿勢を持った人の方が、合いやすいですね。
専門職のように、個人で完結する仕事もありますが、組織として成果をあげるためには、仲間と連携して協力する力、そういったチーム力が大切と考えています。力を合わせることで、期待以上の成果を出せることもありますよね。

四国にも、専門スキルが活かせる仕事があると知ってほしい

溝渕
実際に人材の選考を進める上では、どんな点に注目されますか?
30歳前後の人であれば、前職でどんな仕事をしていたかも気にはなりますが、その人が当社に入社してどんな場所で力を発揮してもらえるのか、という点をより重視し、その人がどういう風に育っていただけるのか、ポテンシャルに比重を置くことになります。
一方、スキル重視の専門的な人材については、求めるスキル・技術を持っているか、を重視しています。例えば法務に詳しい方とか、税務の知識を持つ方は、それを活かせる立場で活躍してもらうことが前提となります。30代半ばを過ぎ、培ってきた専門知識を活かし、地域に還元したい…といった人が当社の求めるスキルとマッチした場合は、ぜひ応募していただければと思います。
佐々木
専門的な知識を持つ人は「自分の知識を活かせる仕事なんて、四国にはないだろう」と思い込んでいたりして、なかなか出会えない…という難しさもありますね。
その難しさは私も感じています。当社のホームページに「法務知識のある方募集」と掲載していても、求める知識を持つ方の目に留まる確率は低いところがあります。電力会社で法務知識が重宝される、とはイメージしにくいのかもしれません。
佐々木
国際事業部が本格稼働していると知り、英語力や海外経験を活かしてチャレンジしたいという方もいるのではないでしょうか。
そうですね。ぜひチャレンジしてほしいと思っています。実際に、キャリア採用で入社した社員が、英語力や海外経験を活かして活躍しています。また、法務や税務の知識を海外プロジェクトに活かす、ということもできます。専門スキルを活かして、四国から海外ビジネスに携わることができるチャンスがある、と知ってほしいですね。
溝渕
DX推進により、四国の新たなプラットフォームを作る、DXによって業務効率化のイノベーションを起こすというテーマも、そのスキルを持った人にとってはとても魅力的だと思います。
そういう風に感じて、四国にやって来ていただける人が増えると、私たちもありがたいですね。電気事業を筋肉質化しつつ、新たな事業を推進するということを並行してやっていくには、どうしても多様な人材が必要です。新卒採用とともにキャリア採用を進めることは、未来への投資。そう考えて、積極的に取り組んでいきたいと思います。
溝渕
今すぐでなくとも、いずれは四国に…と思っている人もたくさんいます。そういう方々にメッセージをお願いします。
よんでんでは、キャリア採用を積極的に進めていきます。四国へのUIターンを考える人にとっては、仕事についてだけでなく、家庭のこと、暮らしのこと、ご自身の人生設計のこと、いろいろ考える軸があって、判断は難しいかもしれません。
気になることがあれば、ぜひこの取り組みを活用いただきたいと考えています。みなさんの望む働き方、キャリアの活かし方に、当社がどんな可能性を提示できるか、前向きな検討をしていきたいと思います。いずれはという先々での検討をお考えの方もぜひご相談ください。
佐々木
採用に関する貴重なお話をいただき、ありがとうございます。今回の取組みを通じて、四国へのUIターンを考える方々にとっての選択肢や可能性が少しでも拡がっていくように我々もしっかりと取り組んでいきたいと思います。

辻 幸司

四国電力(株) 人事労務部 人事グループリーダー

1997年入社。入社して3年は現場での営業を経験。人事労務の業務が最も長く、17年ほどの経験となる。