モノづくりを完結できる強みがある
- 佐々木
- まず初めに、転職されるまでの山下さんのご経歴を教えてください。
- 山下
- 地元香川の高校を出て、北海道大学に進学しました。修学旅行で北海道を訪れたときに「素晴らしい場所だな」と感激したのがきっかけの一つでした。将来は環境分野の仕事に就きたいと考えていましたので、環境工学系の学科がある北大は理想的だったんです。その後大学院まで進み、環境についての研究を深めました。
大学院修了後、東証一部上場の大手機械メーカーに就職し、火力発電設備のボイラー設計を担当。ここではバイオマス燃料の活用やCO2削減など、思い描いていた環境関連に関わる仕事ができていました。 - 佐々木
- なぜ環境分野に興味を持っていたんですか?
- 山下
- 高校の頃から、地球温暖化などについて耳にする機会が増えていました。温暖化による異常気象、そこから来る自然災害や飢餓の増加など、様々な問題があるのだと知り、自分にできることはないか、と考えるようになったんです。
- 佐々木
- 高校の時から環境に関心があったんですね。そういう意味では、希望する仕事に就けていたにも関わらず、転職を志向するようになった理由は何だったんですか?
- 山下
- 実家に住む家族のことを考えたのがきっかけです。年を重ねる姿を見るたび、そばにいてあげたいという気持ちが強くなっていました。それに、前職の勤務地は転勤の可能性もありましたが東京がメインだったため、通勤だけで1、2時間もかかる土地に永住するイメージは沸かなかったですね。
転職にあたっては「技術で社会の課題を解決できる」「モノづくりを通し、社会の人々の幸福に寄与できる」会社、ということを軸にしていました。「環境関連」まで絞り込むとローカルでは転職先がないと思い、環境関連は重視しませんでした。 - 佐々木
- XEN GROUP社の話を聞いた時はどう感じていましたか?
- 山下
- 面接で社長にお会いするまでは「豆腐の製造装置をつくっている会社」程度の認識でした。
しかしお会いしてみると、会社の将来について社長がとてもエネルギッシュに話されるんです。「豆腐の製造装置から始まって、新たなビジネスモデルが確立し、自社製品の展開が進んでいる」とか、「板金から機械・電気・ソフトウェアの設計、組立までの一貫体制があり、モノづくりに関することは、たいてい全部できるよ」とか。 - 高畑
- ちょうどPB(プライベートブランド)の分野に力を入れ始めたときだったと思います。そのころは同時に、ミャンマーから来た技能実習生が母国に帰って困らないように、日本で培った技術で仕事をする場所として、ミャンマー工場の建設を計画していました。ミャンマーへは3カ月に一度の頻度で訪問し、実習生の面接や家庭訪問、工場用地の視察などに行っていました。ミャンマーは資源が豊富であることは聞いていましたが、現地で感じたことは何より電力不足が深刻だった。それならまずは発電所をつくれないか、と妄想していた時期に、山下さんと巡り合ったんです。
- 山下
- そのお話も面接でお聞きしました。電気が安定してないから、発電所をつくりたいって、尋常じゃない発想ですよね。(笑)
- 佐々木
- そうそう。(笑)高畑社長の行動力と勢いはすごいですよね。どちらかというと今行っている事業の話ではなく、先のビジョンを中心にプレゼンされていましたよね。
- 高畑
- 山下さんをどうしても仲間に加えたかったからですよ。職務経歴を見て、なんでこれほどキャリアのある人が当社に応募してくれるのか?と不思議でした。面接で話してみて、こういう志向を持った人が入れば、当社はもうワンランクアップできる。社内のいろんな人々に刺激を与えてくれる。そう考えたから、今だけではなく、先のビジョンを分かってもらおうと思ったんです。かなり妄想も入りましたが。(笑)
- 山下
- 前職では製造工程の多くの部分を外注していて、その方が効率的ではあるのですが、特に外注先が海外の場合、リスクをはらむケースもありました。その点、自社内でモノづくりを完結できる強みが、ここにはあるな、と感じました。何より、社長の熱意が伝わってきたんです。面接では、僕の話を聞くより社長が話していた時間の方が長かったですよね。熱意を持って果敢にチャレンジする人だということがわかり、直観ではありましたが不安に感じることは全くなく、XEN GROUPにお世話になろうと決断できました。
社長が近い。協力できる仲間がいる。一体感がある。
- 佐々木
- 入社して最初はどんな仕事に取り組みましたか?
- 山下
- 前職では設計職といってもCADで製図することはほとんどなかったのですが、ここでやるからにはということで、CADを使った設計を一から教えてもらいました。早く戦力にならなければ、、、という焦りがありながらも、これを習得しないと始まらないと思ったので、必死でした。
- 高畑
- これまでの仕事のやり方を地方でもそのまま続けて、という人もいると思います。しかし山下さんはそうではなく、経験のない仕事に一から取り組む姿勢があった。だから、社内のみんなと馴染むのも早かったですよ。
- 佐々木
- 大手企業から地方企業での仕事という点では、何か違いを感じましたか?
- 山下
- 前職では営業、開発、設計、購買、物流など、部署が細かく分かれていました。ここではそういった部門はなく、みんながいろんな領域に関わります。それが一貫体制の良さなのですが、ともすると一人にかかる負荷が大きくなり過ぎる場合もある。その部分では、自分が大手メーカーで積んできた経験が活かせるんじゃないかと感じています。自分の知見をXEN GROUPに合う形にすれば、よりよいやり方が見えてくるのではないか、と。ここでは自分たちの力でいろんなスタイルにチャレンジし、変えていくことができる。それが大きな魅力とも言えます。
- 高畑
- 大手のやり方を知っている山下さんの存在は、当社の体制を底上げする力になっています。実際の業務の中で彼の経験や知識を聞き、触発される社員も大勢いるようです。私もこの会社に入る前、大手企業での仕事を経験しましたが、大手には大手ならではの合理的な手法や、技術・製品に対する確固たるプライドがある。それらを知り、自社に適応させれば、私たちはもっと成長できると思います。
- 佐々木
- 大手のやり方を知る人の知識や経験が、既存の社員のやり方をブラッシュアップする。そうやって会社がもっと強くなっていく、ということですね。
- 高畑
- そういう役割を担ってくれるだろうと考えて山下さんを採用したし、今後はもっと、いろんな方面で影響力を発揮してほしいと期待しています。
- 山下
- 今はサブリーダーという立場で、生産計画を工夫、お客様への提案資料をもっと見やすいものにする、などの活動も積極的に行っています。指示をする時は、一方的な言い方にならないように、仲間への感謝と尊敬の気持ちを忘れず、意図がきちんと伝わるように。でも、この会社の人はみんな素晴らしいですね。自分の仕事に熱心だし、周囲の仲間に気配りができる。一体感があるので、とても仕事しやすいです。
- 佐々木
- Uターン転職により四国の内と外を知る山下さんにとって、四国ならではの「働く」価値は何だと感じますか?
- 山下
- 「働く」という以前に生活という面でのメリットが本当に大きく、学生の時以来だった野球を始めたり、ゴルフ場も近く何より安い、などプライベートでの暮らしはとても充実したものになりました。これが働く上でのモチベーションにも繋がります。またこの会社の仲間とは、仕事上での関係だけではなく、プライベートでも花見に行ったり、バーベキューを楽しんだりというシーンが当たり前にあります。
あとは、前職では、社長と直接話せる機会なんてほとんどありませんでしたが、ここでは社長が目の前にいるので、いつでも相談できます。また、いつも社長のビジョンを聞いているので、実行段階が急に来ても迷いなく進んでいける。そういった距離感、全員で協力する風土は、XEN GROUPに入社したからこそ得られたことです。私一人では実現できないことも、社長やこの会社の仲間と一緒ならできる。大きな会社で働いている時は良くも悪くも組織の一部という感じでしたが、今はそういう感覚はなく、自分自身が組織を背負ってやっている実感はとても大きいです。 - 佐々木
- 高畑社長はいかがですか?
- 高畑
- 社長と距離が近い、というのは大切にしています。いつでも意見を聴けるように心がけてもいますし、その意見がみんなのために繋がるのであれば、即断で実行に移します。企業規模が小さいからできることかもしれませんが、「全従業員が心豊かな生活を実現できる企業活動を追求する」という理念は何をやるにしてもベースになる考え方です。
事業の一翼を担っている、という実感
- 佐々木
- 高畑社長は、今後のXEN GROUP社について、どのようなビジョンを描いていますか?
- 高畑
- 当社には、食品の品質保持を目的とした冷凍装置、アップサイクルを実現するための食品乾燥機、といった自社ブランド装置を開発・販売する【PB事業】を始め、他社機械装置や部品、制御・電源装置などの開発設計・製造を担う【ODM事業】、食品製造工場を運営しながら、実働ベースでビジネスモデルの構築・開発を担う【FOOD事業】、そして農作物を実際に自分たちの手で作る【AGRI事業】と、4つの事業分野があります。ODM事業で培ってきた技術力をベースに、PB事業も大きく伸びてきています。特に「フードロス削減」をテーマに掲げて以降、注力してきた乾燥機や独自技術で開発した冷凍装置は、これまでにない発想で業界に変革をもたらす可能性を大いに秘めています。この展開は、国内だけにとどまらず、一気に海外に向けての展開にも繋げていきたいと考え、グローバルチームも発足し世界ブランドを目指して準備が進んでいます。
- 佐々木
- 社長のビジョンを聞き、山下さんはどう感じますか?
- 山下
- XEN GROUPが「フードロス削減」に取り組み始めたのは、豆腐製造に参入し、廃棄される食材の多さを「もったいない」と憂いてのことでした。XEN GROUPが推し進めるこの「MOTTAINAI エンジニアリング」は、私のベースである環境分野と親和性が極めて高いものです。環境分野を求めてXEN GROUPに転職したわけではないのですが、結果的に近い分野で仕事ができそうで、意気に感じます。今最も注力している乾燥機と冷凍装置で、まずはしっかりと実績をつくっていきたいです。
- 佐々木
- 山下さんの転職した当時はまだ乾燥機も冷凍装置もありませんでしたが、ここ数年で一気に事業展開が進んでいて、このスピード感にいつも刺激を受けます。
- 山下
- 確かにすごいスピードで展開していますね。XEN GROUPに来て3年経ちますが、毎年のように新たなチャレンジの話があり、どんどん領域が広がっています。変化は早いですが、社長は社員である私達のキャパシティーを信じて決断しているので、期待に応えたいといつも思っています。また、これからは社長に何もかもを任せるのではなく、社長が介在しなくても動けるように、私たちも成長しないといけないですね。最近は英会話の勉強も始めていて、いつでも海外へ行ける準備を整えています。
- 佐々木
- 今後、XEN GROUP社が望む人材像はどのようなものですか?
- 高畑
- どんなスペシャリティーを持っていても、成功ばかりの人はいません。だからこそ、失敗しないことを意識している人よりも、一つの失敗を反省し、学べる人がいいですね。失敗から得た経験ほど強いものはないですから。きっちり反省できれば、失敗は糧になる。これは誰より、自分自身に言い聞かせている教訓です。
当社がここまで来れたのは、「人の縁」を大切にしてきたからです。お客様、取引先、その関係者、社員…誰一人欠けても、当社の今はなかった。今後もいい人と出会っていきたいです。 - 佐々木
- 最後に山下さんから四国へのUIターンを考えている人に向け、メッセージをお願いします。
- 山下
- 組織の規模は小さくとも、人との繋がりがしっかり感じられる。それが地方の企業のいいところです。いろんな人の思いが重なって、一つの製品ができている。その一翼を自分も担っているのだという実感こそ、地方企業に転職して得られる一番の報酬だと思います。みんなで一緒に一つの価値を創っていきたいという手応えを大事にする人は、UIターン転職に向いているのではないでしょうか。
- 佐々木
- 確かにその通りですね。お二人とも、今日はありがとうございました!
XEN GROUP社の今後の躍進を心から楽しみにしています!
当社が運営する転職支援サイト「リージョナルキャリア」にて、(株)XEN GROUP 代表取締役 高畑洋輔氏の取材記事を掲載しております。併せてご覧ください。
高畑 洋輔
(株)XEN GROUP 代表取締役
1979年生まれ。香川県出身。大学を卒業後、大手工作機械メーカーに就職し、製造エンジニアを経験。2005年、父が経営する有限会社高畑電機へ入社。板金屋から機械装置の設計から製造・据付工事までを担う会社組織へと変革させた。2007年には株式会社タカハタへと改組、2011年に代表取締役に就任。「フードロス」をテーマに、付加価値の高い自社ブランド製品開発に注力するなど、精力的に活躍する。※株式会社タカハタは、2022年1月より株式会社XEN GROUPに社名変更しました。
山下 智生
(株)XEN GROUP 営業技術
1984年生まれ。香川県出身。高校卒業後、北海道に進学し大学・大学院で、環境について研究を深める。卒業後、大手機械メーカーに就職。火力発電用ボイラーの設計を担当する。途中、数年の転勤はあったものの、在職期間のほとんどを東京で過ごすが、両親の残る香川へのUターンを決意。2018年に(株)タカハタへ転職。現在は営業技術として、自社ブランドの乾燥機や冷凍装置などの機械の提案を行う。※株式会社タカハタは、2022年1月より株式会社XEN GROUPに社名変更しました。
佐々木 一弥
(株)リージェント 代表取締役社長
香川県さぬき市出身。大学卒業後、2007年に株式会社リクルートに入社。求人広告の企画営業職として、香川・愛媛にて、四国に根差した企業の採用活動の支援を中心に、新拠点や新サービスの立ち上げも経験。2010年に販促リサーチを行うベンチャー企業の創業メンバーとして参画。創業の苦労と挫折を経験。2012年、株式会社リージェントの創業メンバーとして入社。2019年より代表取締役社長に就任。子どもと焚き火をするのが至福の時間とのこと。