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コロナ禍を経て変化した四国の転職市場

12月に入り、朝晩の冷え込みがいよいよ厳しく、冷気に身の引き締まる季節となりました。新型コロナウィルスの感染状況は一旦落ち着きをみせていますが、変異ウィルスの影響も聞こえ始め、まだまだ予断を許さない状況が続いています。気軽にどこへでも外出できるようになるまでにはもう少し時間が必要かもしれませんが、少しずつでも「季節らしさ」が目に見えて感じられるようになればいいなと思います。

コロナ禍によってこの1~2年の間に様々な変化が起きましたが、企業活動においても採用人員の再考、製造サイクルの縮小、リモートワークの普及など、中には転職希望者の方にとって不安に感じることも含め、多様な変化があったように思います。今回はこうしたコロナ禍の影響によって「四国の転職市場がどのように変化したか」について、お伝えさせていただきます。

四国における転職市場の変化

1.企業状況と採用活動

コロナの感染拡大期は、観光業界や交通インフラ業界、小売業界、大手メーカーの下請け企業などを中心に、事業活動への打撃が大きかった企業も少なくなかったと思われます。しかし、弊社が採用のお手伝いをさせていただいているクライアントへ採用に関するアンケート調査を実施させていただくと、64%の企業が採用活動を「維持する」または「拡大する」と回答されました。

▼コロナ禍における四国企業の採用動向調査(2020年7月)



コロナ禍の影響が少なかった企業はもちろんですが、一時的に影響を受けていた企業においても、目の前の影響を悲観するのではなく、未来に向けて必要な準備を事前に整えようとする動きが目立ちました。

各社の社長と会話させていただく中でも、「今まで採用活動は、人数確保やとりあえず若手の確保という方向でしか見ていなかった部分もあったが、コロナ禍によって危機感や課題感を得たことで、今後のビジョンに対してどのような人材が必要なのか、ということに目を向けやすくなった」という言葉もありました。コロナ禍の縮小・収束後を見据えて、単なる人員補充ではなく、不足している経験やスキルの獲得による事業の安定・拡大を狙う意図があったように感じています。

また、2021年3月(前回アンケートから約8カ月後)に改めて同様のアンケート調査を行なったところ、「採用数を拡大」する企業が2%から13%まで増加した一方、「採用を縮小・ストップ」する企業は24%から9%まで大幅に減少しています。景気の先行きが見えづらい中、「まだ分からない」という回答も12%から22%まで伸びていますが、これは経営方針や営業戦略を見直している中、今後の採用活動について様子見をしている企業が増えたためだと考えられます。

▼コロナ禍における四国企業の採用動向調査(2021年3月)



このアンケート調査を実施してから現在にかけて、企業の経営者や部門長と会話をしていると、アフターコロナやウィズコロナに向けた事業戦略に注力していく意向を日に日に感じるようになっています。そのため、そうした事業計画の実現に向けて、職務経験者やスキル保有者の採用の必要性が強まっています。特に顕著に表れているのはIT・WEB系人材への採用意欲です。コロナ禍を機に既存サービスのデジタルシフトやアプリ開発、社内業務のDX化の動きが加速しており、もともと人手が不足していたIT・WEB系人材の争奪戦がさらに激しさを増しています。弊社がお預かりするIT・WEB系の新規求人数も昨年より130%程伸びており、コロナ禍に関わらず需要が高まっている状況です。

また、事業進行のための顧問人材のニーズも強まっているように思います。コロナ禍によって危機感や事業課題を感じ、経営に対する客観的なアプローチを求める企業が増えてきていることが一つの背景として挙げられます。「経営層が長年変わっていない」「事業モデルがほとんど変わらず、新しい取り組みも失敗が続いている」といった状況の中、外部から専門的な知見や経験を取り入れることで、コロナ禍と同じような危機が訪れたとしても乗り越えられる社内体制を整えたいという要望は増えたと感じています。最近は副業が新しい働き方として定着しつつあるため、外部の優秀な人材を顧問として迎えることも少しずつできるようになってきています。実際に弊社でもそうした事例がでてきており、顧問人材の需要も高まっていると感じています。

では、こうした四国の転職市場の中で採用ハードルはどうなっているのか、について次項でお伝えさせていただきます。

2.選考における採用ハードル

転職市場における選考フローにも様々な変化がみられました。
特に顕著だったのは「採用ハードル」が上がったこと。今までよりも、経験やスキルを持った方をピンポイントで獲得しに行こうとする動きが多くみられるようになりました。

即戦力として活かしていただけそうな経験をお持ちの方や、自社内には無い経験・スキルをお持ちの方を採用して、更なる事業拡大を図ろうとされているケースは特に増えたように感じます。また、組織・メンバーのマネジメントに課題感を持つ企業が、40代~50代でマネジメント経験を持つ方を特別待遇で迎え入れたい、といったご要望もいただくようになりました。

一方、単なる人員確保や若手なら未経験でもOKという採用活動は減少傾向にあると感じています。経験やスキルがこれまで以上に大事になってきており、どんな経験をしてきてどのような成果を上げてこられたのか、また、それが応募先企業においてどのように活かせるのかということを、しっかりと表現できることが大切になっています。
したがって、これまでのキャリアの棚卸や転職理由(叶えたいこと)の言語化、なりたい姿のイメージなどを事前に明確にしておくことが転職活動成功の鍵となります。

さいごに

ここまでお伝えしてきたように、四国の企業の多くは、早期に戦力となり得る方を求める傾向が強まっています。求人数や求人の内容自体は大きく変わっていないものの、選考ハードルは上がっている、というケースが増えているのも実情です。その分、関東・関西などの都市部で専門的なスキルを磨いてこられたUIターン転職者への採用の温度感は以前よりも高まっているように感じます。

そのため、培ってきた経験や保有スキルをしっかり企業へPRするために職務経歴書の内容を充実させることは、今まで以上に重要になっていると思います。また、「準備」という観点では、転職情報を収集しながらも、現職でより高い(幅広い)経験を積んだり、資格を取得されたりすることも有効な手段の1つだと感じます。

もし、職務経歴書を作成する過程でご自身の経験を振り返っていただく際に、行き詰ったり困ったりした場合は、是非私たちキャリアコンサルタントへご相談ください。具体的に転職活動を進めるということだけではなく、皆さま一人ひとりの希望や価値観に寄り添い、転職の可能性を探るところから中長期でサポートさせていただきたいと考えています。