私が運営に携わるコミュニティ「まんまる高知」について
進学や就職で県外に出て、5年、10年と地元と離れて暮らしているうちに、いつしか地元との縁が薄くなってしまった方も多いのではないでしょうか。Uターンの方だけでなくIターンを検討されている方は尚更、ゼロからの関係性づくりを不安に思う方もいらっしゃるのではないかと思います。
私自身、6年前に東京から高知へUターンした時に、そうした不安や「知り合いが家族、会社、地元の同級生だけでいいのか⁉︎」といった焦りを感じていました。この焦りやモヤモヤを抱えている最中に出会ったのが、高知の地域課題解決コミュニティ「まんまる高知」です。
この地域コミュニティとの出会いをきっかけに、世代や仕事の枠を超えたまんまるな繋がりと、そのままの自分を受け入れてもらえるサードプレイスを手に入れることができたように思います。
今はリージェントに転職して香川に住んでいますが、それでも月に2~3度は高知へ帰り、香川に居てもコミュニティの打合せはオンラインで参加するといった、香川と高知に片足ずつ突っ込んだような生活を送っています(笑)。
今回はそんな「コミュニティ」をテーマにお話ししてみたいと思います。
「まんまる高知」について
2019年に「強くてあたたかい高知をつくる」をミッションに設立された地域コミュニティです。メンバーや会員といった概念はなく、活動したい人がプロジェクトを立ち上げ、参加したい人が参加するという「プロジェクト参加型」のスタイルを取っています。
これまで防災やキャリア教育など多様なプロジェクトが実施されてきましたが、私はその中で「りぐらん土佐酒の会」という高知のお酒を気楽に楽しみながら、高知の魅力を発見・発信するプロジェクトを主宰しています。
また、共同代表としてコミュニティ自体の運営も行っており、「ふくらむ」という異業種交流イベントを高知や東京で開催してきました。
なぜコミュニティに関わり始めたのか
私は「高知のために」という想いで地元にUターンしました。仕事だけでは飽き足らず、プライベートでも何かしたい、でも同じような気持ちの人ってなかなか出会えない。そんな時に職場の同僚に誘われたのが「ぶちまけトーク」というプロジェクトの運営でした。
高知でイキイキと働くゲスト社会人を招き、中高生や大学生とその名のとおり裏表なく「高知で働くってぶっちゃけどうなの!?」をテーマにディスカッションするオンラインイベントです。
もちろんイベントの運営自体も楽しかったのですが、何より運営を通して出会ったプロジェクトメンバーやゲスト社会人が、まさに「高知のために」という想いを持って行動している人たちでした。
この場に居れば、こうした同じ想いの人たちともっと繋がれる。そんな期待もあり、コミュニティに関わり始めました。
「りぐらん土佐酒の会」立ち上げ
コミュニティで活動しているうちに、自分も何か始めたい気持ちが芽生えてきました。「高知のために何かしたい」という漠然とした想いはあるものの、具体的に何がしたいのか…メンバーとの会話やワークショップに参加する中で、元々好きな「日本酒」というテーマが浮かび上がりました。
私の周りでの日本酒のイメージは、残念ながら「オジサンがコップ酒で飲むやつ」「献杯返杯(高知独特の酒文化)で潰される…」「温度の呼び方(雪冷え、ぬる燗など)や、磨き(精米歩合)が難しい!」などネガティブなものも多く、同世代で一緒に日本酒を楽しんでくれる人になかなか出会えないことを寂しく思っていました。ならば、誰でも楽しく飲める場を作ろう!と立ち上げたのがこのプロジェクトです。
名前の「りぐらん」は土佐弁で「気取らず、気楽に」といった意味。難しい話は抜きにして、自分のペースで土佐酒(高知で作られる日本酒ほかお酒すべて)を楽しみながら、「土佐酒×〇〇」をテーマに高知の食や自然といった魅力を堪能するイベントを開催しています。
「土佐酒×テントサウナ」のイベント。高知の自然を満喫しつつ、高知版オロポ(甘酒を使った、ととのいドリンク)が好評でした!
コミュニティを運営していて感じるメリット
〇フラットにいろんな人と繋がれる場
共通の課題意識や興味で参加するコミュニティなので、年齢や職業、役職といった枠を超えて繋がれる場となっています。
これまでのイベントでも、中学生から会社員、公務員、個人事業主や起業家など、普段の生活では繋がらないような多様な立場の人が集い、立場の関係ないフラットな会話が生まれています。
〇「役割」のカンバンを背負わない自由さ
コミュニティにおいては会社など背負うものがないので、私にとっては自分自身の「やりたい!」を原動力に動いていい「自己表現の場」だと感じています。
その自由さから腹を割った会話が生まれやすく、コミュニティで意気投合して語り合った人が、実は大企業の役員だった!みたいなことが度々あります(笑)。
〇何でもやって良いからこそ、何をやりたいか自問自答する
コミュニティに関わる方の中には、何がやりたいのか明確な方もいれば、そうでない方もいます。
イベントに参加する中で、周りの方に刺激を受けたり、何がしたいのかを問いかけられて自問自答を続けるうちに価値観が変化したり、自分の考えを持つことができるようになり、そこから転職した方もいれば、仕事への向き合い方がガラリと変わった人もいます。
東京での文旦アイスブレイク。高知出身の方が多く、文旦の剝き方のご家庭事情トークが盛り上がり、初対面同士とは思えない打ち解け方をしていました。
高知、そして四国の未来を面白くしたい
高知への想いを話すと「地元愛が強いんだね」と言われますが、私にとっては少し違います。
私は今の高知そのままが好きなのではなくて、これからの高知の未来への期待、少しでも自分が関わってより面白く変わっていく高知を見たい、という気持ちで行動しています。
そしてリージェントへの入社を機に、地元高知だけでなく四国の未来に関わっていきたい、四国をもっと魅力的な地域に変えていきたいと思うようになりました。
正直なところ、首都圏に住んでいた頃の四国のイメージは少子高齢化や限界集落、「四国には活気がない」といった、色で言えばグレーのイメージでした。
それが実際にUターンしてコミュニティに関わり、いろんな人や企業と出会い、豊かな自然や食のありがたみを肌で感じていくうちに、カラフルなイメージに変化していきました。都会から見ていたほど落ち込んでいない、むしろ鮮やかなパワフルさを感じています。
暮らす場所をどう面白くするかは自分次第。もしも、Uターン当初の私と同じような焦りやモヤモヤを抱えている方がいたら、まずは新しい場に飛び込んでみることをオススメしたいと思います。「新たな人との出会いが、自分自身の行動や価値観を変える」と、私は実感しています。