募集背景から読み解く企業の課題と求める人材
皆さんは求人情報を見る際、どのような項目を気にしていますでしょうか。
・事業内容
・仕事内容
・給与や待遇
・勤務地
・福利厚生
・働く環境や風土
重視する観点は人それぞれだと思いますが、おおよそこんなところでしょうか。
こうした募集要項はズレが生じると入社後のミスマッチに繋がりますので、しっかりと自分に合っているかどうかを見極めることが大切です。
また、これらに加えて是非ご確認いただきたいのが「募集背景」です。
いくら経験が活かせる仕事で事業内容に魅力を感じていても、企業がそのポジションを必要としている背景とズレていると、入社後のミスマッチはもちろん、そもそも検討の土台に上がることができないということもあり得ます。
今回は、そうした募集背景の見方についてポイントを一つお伝えしたいと思います。
事業の発展段階モデルと必要とされる人材
皆さんは、募集背景でこんな文言を見たことはありませんでしょうか。
「事業拡大による増員募集」
この文言からどのようなイメージを持ちますでしょうか。
・事業が拡大しているってことは、儲かっているのかな。
・業務が増えて、人員が足りていないのかな。
・増員が必要ってことは忙しいのかな。
など、いろんな感想を持つかと思いますが、これだけで得られる情報は限られますよね。
ただ、この「事業拡大による増員募集」という文言だけでも、企業や事業の発展段階を想定することで、事業課題やそれを解決できる人材を仮説立てできる場合もあります。
事業の発展段階には「草創期」⇒「拡大期」⇒「多角期」⇒「成熟期」があるとされていますが、各段階で求められる人材は少しずつ異なります。
【草創期】
創業間もない組織は、創業者の夢やビジョンをメンバー間で共有しやすく、「同士」が集まる個人商店集団。そのため、夢やビジョンに共感した即戦力級の人材や、会社の骨格作りに必要な幅広い知識や対応力のある人材が必要となります。
【拡大期】
商品サービスの標準化や社員増による組織の役割分担専門家が進むフェーズ。組織の拡大により、ビジョンの共有やマネジメントの難易度が高まります。多忙をいとわない現場要員や、推進力と人望のある現場マネージャー、組織運営に必要な専門的知識を持っている人材などが必要となってきます。
【多角期】
新たな市場や顧客の開拓や競合との差別化を進めるフェーズで、多角化に伴い、部署ごとに独自の文化が形成され、多様な価値観が社内に生まれます。差別化のために企画・分析力に優れた人材や、新たな市場開拓のためにマーケティングに明るい人材、戦略性のある現場マネージャーが必要とされます。
【成熟期】
コア事業に注力しつつ組織内の仕組みの変革や顧客ニーズに合った新たなビジネスモデルを模索するフェーズです。分析力・構想力・想像力に優れたミドルクラスの事業戦略人材や経営企画・財務のプロ、戦略的思考と知的タフネスさを備えたミドルクラスのマネージャーが必要となります。
個社ごとに状況が異なるため一概には言えませんが、現状、事業がどのフェーズにいて、どんな課題があるのかをとらえることができれば、「事業拡大による増員募集」が、拡大期の増員でフットワークの軽い現場要員を求めている募集なのか、多角期で付加価値を生み出しながら戦略的にマネジメントできる人材を求めている募集なのかが見えてくると思います。
今回は「事業拡大による増員募集」を例としてあげましたが、「次世代リーダー候補募集」「新規事業の体制強化」などの募集背景についても同様で、同じ文言でも事業の発展段階によって求める人材は変わってきます。応募する前に企業の募集背景の内容についてはしっかり把握したいところです。
ただ、忙しい転職活動の中で募集背景の根本にあるものを仮説立てすることは容易ではないかと思います。そんな時は企業の生情報を持つ転職コンサルタントに相談することも一つの手です。
ネットなどで入手できる情報は限られていますが、転職コンサルタントから詳細な情報を聞くことで、より企業理解が深まり、自分に合ったポジションを見つけ出せる可能性も高まります。
また、企業の募集背景を把握している、つまり企業の経営課題や事業課題を把握している転職コンサルタントであれば、経営課題や事業課題の軸で求人を見つけ出すこともできます。つまり、WEB上に公開されていない求人にアプローチすることも可能です。
私たちは日頃から企業の経営者や事業責任者とコミュニケーションを取ることを大切にしており、刻々と変化する企業の状況把握に努めています。募集背景の根本にある事業課題やそれを解決できる人材を知りたいという方は、ぜひお気軽にご相談いただければと思います。