四国で活動する転職エージェントが感じる求人市場動向
こんにちは。四国へのUIターン転職支援を手掛ける転職エージェント、リージェントの加地です。最近、ニュースなどで「原材料費の高騰」「輸出悪化」等々、景気の先行き不透明さを感じるキーワードを耳にすることが多いからか、転職市場はどんな状態になっているのか?地方に仕事はあるのか?といった相談を受けることが増えていると実感しています。そこで今回は、地域に密着して活動している転職エージェントの私たちが、日々地場企業と向き合い、肌で感じている四国の求人市場動向についてお伝えをしたいと思います。
求人倍率は増加に転じている
肌感覚をお伝えする前に、まずは求人倍率を押さえておきたいと思います。現在、公表されている最新の求人倍率は2022年11月時点のもので、全国1.35倍となります。コロナウィルスの影響が色濃く残っていた1年前(2021年11月)は1.17倍でしたので、かなり持ち直してきていることが窺えます。四国も以下のように同様の流れとなっています。
エリア | 2021年11月 | 2022年11月 | 前年同月比 |
---|---|---|---|
香川県 | 1.54倍 | 1.67倍 | 108% |
愛媛県 | 1.40倍 | 1.58倍 | 113% |
徳島県 | 1.33倍 | 1.43倍 | 108% |
高知県 | 1.14倍 | 1.24倍 | 109% |
景気と求人ニーズの関係性
景気が良いという話はあまり聞かないし、日々の生活感覚でも景気の良さは感じられない。でも、求人倍率は高くなっているのは何故?と思われた方がいるかもしれません。確かに、今までは景気が良くなれば求人倍率も上昇し、景気が悪くなれば求人倍率も下がるといった具合でしたが、現在ではあまり相関関係がなくなってきていると言えます。
実際、私たちが企業と会話をしていても「原材料費が高くなっていて利益が厳しい」という話をよく耳にしますが、そのような中でも人材採用を行おうとする企業が多く、当社だけでも四国エリアで約3,000件もの求人を地場企業からお預かりしている状況となっています。
企業が求人する理由
多くの企業に共通しているのは、少子高齢化という社会構造の変化による影響です。例えば、定年退職者が毎年20名程度発生しているが、それを埋められるだけの新卒者を採用できていない。よって、新卒を確保できない分、中途採用を行うといった具合です。第2新卒と言われる転職マーケットは、まさにこの構造によって成り立っているものと思われます。また、社会構造の変化は少子高齢化だけではありません。DX化・グローバル競争・ニーズの多様化・環境問題対策・働き方改革・インバウンド需要など、様々な社会変化に対応できる事業推進をしていくために、企業はそうした経験を積んだ方を積極的に採用していこうとしています。
企業が求人する理由が変わってきている
例えば、情報システムや社内SEなどのIT人材について。今まで、中小企業は自社でIT人材を雇用せず、外部のIT企業に依頼してシステム関連の対応を行っていましたが、DX化の流れによって一気に自社雇用の必要性が高まり、今では多くの中小企業がマルチタスク型でDX化に対応できるIT人材を求めています。また、コンプライアンス面の高まりによって法務を自社雇用しようとする企業が増えていることも同様の流れかと思います。このように、今までは外部の専門家に任せておけば良かった領域が、それだけでは対応できない状況に変化してきています。
また、グローバル競争の激化やインバウンド需要の高まりなど、語学力(特に英語力)を有する人材のニーズも顕著です。英語によるコミュニケーション力はもちろん、各国の商習慣や価値観などを熟知している人材を採用することで、四国からグローバル市場への対応を行っていこうとする企業も増えています。
そして、管理職人材を求めようとしている企業が多いことも、今の転職市場の特徴としてあげられます。年齢層で言えば35歳〜45歳位のイメージでしょうか。これもバブル経済崩壊後の景気悪化による社会構造の変化が影響しており、採用抑制や管理職のプレイヤー化によって、この層が不足していたり、マネジメントの機能不全に陥っていることを解決しようとして、管理職の経験を持った人材を求めようとしているのです。
あなたのCanは何か
冒頭に述べた通り、求人倍率の観点からは転職希望者の方々にとって有利な転職マーケットに映りますが、なかなか転職先が決まらず、苦労されている方々がいらっしゃるのも実際のところです。先行き不透明なVUCAの時代を生き抜いていこうとする企業が、自社にいる人材だけでは課題に対応できないため、課題解決できる人材を求めているのが、今の転職市場の特徴であると言えます。
そこでキーワードになってくるのが「あなたは何ができる方ですか?」ということになります。時代の流れの傾向はあれど、企業が抱えている課題は本当に様々です。そんな企業の課題解決ニーズと、あなたのCanをマッチングさせることが、今の転職市場には必要な視点ですので、今までのビジネス経験を棚卸し、自身のCanを見える化して掴んでおくことが、転職成功の大きなポイントになっていると思います。