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統計から見える愛媛の暮らし

こんにちは!四国の転職エージェント、リージェントの田中です。

愛媛の暮らし、と聞いて皆さんはどんなことを思い浮かべますか?なんとなく暮らしやすそう、と思われる方もいるかもしれませんが、実際に住んだことがない人にとって、具体的な暮らしはイメージしにくいものです。むしろ愛媛県内に住んでいる人でも、客観的に見てどんな特色や魅力があるのか、気付けていない部分もあるかもしれません。

そんな時は、各地域の様々な特性や傾向を数値で表してくれる「統計データ」をのぞいてみると、今まで知らなかった愛媛の良いところに気づいたり、面白い発見があったりするかもしれません。今日は「統計から見える愛媛の暮らし」と題し、様々な統計データや、実際に愛媛で6年暮らした私の実体験から感じたことなども織り交ぜながら、愛媛での暮らしについてお伝えしていきます。

温暖で穏やかな気候

愛媛は気候が穏やかで暮らしやすいとよく言われます。実際に住んでいた私も本当にそう思いますし、雨の日はとても少なく晴れた日の思い出ばかりです。統計データを見てみると、愛媛の平均気温は17.3度(全国13位)、年間降水量は1,030mm(全国41位)、年間降水日数も76日(全国44位)と、日本の中でも愛媛県は温暖な気候であり、また雨の日が少なく、晴れ間が多いという事が表れています。



愛媛県は中国山脈・四国山脈にはさまれた瀬戸内海地域にあるため、どの季節風が吹いた場合も風下側になり、風上の地域で雨や雪を落とした乾いた大気が流れ込むので、比較的穏やかな天気になるのです。

※参照:「統計でみる都道府県の姿 2024」総務省統計局

大自然で育まれる豊かな山の幸、海の幸

これらの温暖で穏やかな気候、晴れの日が多いこと、複雑な山や海の地形などの大自然が、豊かな農作物や海産物を育んでいます。

愛媛の代名詞といえばやはり「みかん」ですね!令和3年の愛媛の温州みかんの収穫量は127,800tと、和歌山に次ぐ全国2位の生産量です。また、中晩柑類(柑橘類のうち温州みかん以外のもの)の収穫量は80,438tと全国1位であり、栽培されている品種の数も39品種と日本で最も多く、他を圧倒しています。



これらの様々な品種の柑橘類は収穫時期が少しずつずれているため、旬を迎えたものから市場に出ていくリレー販売を可能にしています。つまり、愛媛では数多くの品種のみかんや柑橘類を長い期間楽しむことができるということ。総合力で他を圧倒する、まさに柑橘王国なのです。

そして瀬戸内海と宇和海という2つの海を有する愛媛県は、漁業や養殖業も盛んな地域。水産物(養殖業)の生産量では、マダイ、シマアジは全国1位、ブリ類は全国2位、海面養殖業産出額は全国1位を誇る、水産王国でもあります。



前述の「みかん」との合わせ技、みかん類の果皮やオイルを配合した特製飼料で育てることで魚の生臭さをおさえ、ほのかに柑橘の香りがする「みかんフィッシュ」も開発されています。マダイやブリをはじめとした多くの魚に応用されており、愛媛の特産品ブランド魚として知名度を上げています。

実際に、私が愛媛に来たばかりの頃、産直市場の売り場に並べられている柑橘類の多さには驚かされました。濃淡のオレンジや黄色などの色とりどり、サイズや形も様々な、見たことのない柑橘類がたくさんありました。レモンのように鮮やかな黄色で、本当に甘いのか?と半信半疑で食べた「はるか」の美味しさに、私は一瞬にしてとりこになり、市場にでている間ははるかばかりを買って食べていたのでした。

海鮮の新鮮さや美味しさもずば抜けており、いつでもどこでもおいしい刺身や海鮮丼をはじめとした魚料理が食べられます。八幡浜の漁港で食べた揚げたてのじゃこ天は、今までのじゃこ天の概念を覆す驚異的なおいしさで、この感動は未だに忘れることができません。



愛媛が育んだ美味しい山の幸、海の幸を食べ、そこからたくさんパワーを貰っていました。こうした「食べ物がおいしい」という特長は、暮らしやすさに直結しています。

※参照
かんきつ類の統計」愛媛県
愛媛の指標」愛媛県
愛媛県農林水産部水産局漁政課企画流通係

物価の安さ、家賃の安さ

そしてもうひとつ、愛媛の暮らしやすさに繋がるポイントが、その物価の安さです。日本の各地域の物価水準を表す消費者物価地域差指数(全国平均=100)は98.1で全国36位と、47都道府県のなかでも物価が安い地域です。

徳島は19位、香川は33位、高知は12位なので、愛媛県は四国地域の中で最も物価が安い県なのです。先ほど紹介した美味しい食べ物もお買い求めやすい、ということですね。

住宅に関しても、消費者物価地域差指数は全国41位と物価安の地域であることが分かります。また、愛媛県は民間賃貸住宅の家賃の安さにも定評があり、主要都市である松山市でも、ワンルームの家賃相場は4万円前後、3LDKでも5万5千円前後と、全国的に見ても安値なのです。これらは、人口に対して住宅物件数が多いので需給バランスが良いこと、土地自体の価格が低いこと等が背景といわれています。



東京ではワンルームの家賃相場は9万円前後(23区内では10万円以上!)ですから、なんと半分以下の安さ。都内に住んでいる人は、きっと愛媛の家賃の安さに驚きを隠せないことでしょう。

私は逆に、愛媛で暮らした後に東京へと移り住んだ経験があるので、東京のその家賃の高さに目が飛び出ました。衣食住の「衣」「食」に関しては、そこまで顕著な差は感じなかったのですが、家賃は家計の中で占める割合も大きいので「住」に関する影響は非常に大きく、地域でかなり差があるのだなと驚きました。

愛媛って物価が安かったんだな、愛媛の家賃の値段が普通ではないんだな、愛媛って暮らしやすかったんだな……と、遠く離れてから気がついたのでした。

※参照:「消費者物価地域差指数 小売物価統計調査 2022年」総務省

通勤・通学に時間がかからない、通勤・通学時間は全国2位の短さ

最後に、ちょっと面白いランキングをご紹介します。総務省が行った令和3年社会生活基本調査において、「通勤・通学時間(平均)」を都道府県別に調べたところ、最も長かったのは神奈川県の1時間40分であったのに対し、愛媛県は57分と全国2位の短さだったのです。

通勤・通学時間が短くなる要因としては、平野部が広い地形であり平坦な道のりが多いこと、都市部が比較的コンパクトにまとまっていること、電車やバスなどの公共交通機関が発達している(松山市・東温市・松前町・伊予市などの中予エリア)こと、賃貸住宅の家賃が安価なため職場のすぐ近くに家を借りられること、などが考えられているようです。先ほどお伝えした家賃の安さが、こんなところにも影響しているのですね!



確かに、東京を中心とした都市部で働いている方は電車で1〜2時間かけて通勤していることも珍しくなく、通勤時間に対しての感覚は都市部と地方では大きな差があります。しかしながら、都市部での長時間の通勤や毎朝の満員電車での移動に身も心も疲弊していき、都会で長く暮らしていくイメージが持てなくなった……と、UIターンを決心される方も少なくないのです。

四国に来てからは長時間の通勤ストレスから解放され、家族や自分の趣味のために時間を使えるようになった、という声も多いです。タイムイズマネーという言葉があるように、自由な時間、ゆとりある時間は、何物にも変えがたい貴重なものですね。

※参照:「令和3年社会生活基本調査」総務省

統計から見えてくる愛媛の暮らしやすさ

これまで気候や食べ物、地理的条件や生活環境についてなど、様々な角度から愛媛での暮らしについてお伝えしてきました。愛媛での生活は、地方ゆえの不便さももちろんありますが、総じて暮らしやすい地域だと私は思っています。

愛媛に住んだことがある方も、そうでない方も、愛媛に住んでみたいな、また住みたいなと、少しでも興味を持ってくださったら嬉しいです。

そして何より、個人的には愛媛の良さは「人のあたたかさ」にもあると思っています。これは決してデータでは表せない、非常に感覚的な部分になってしまうのですが、温和で人懐っこく、他者を快く受け入れてくれる。そんな包容力のある柔らかい愛媛の人達が私は大好きです。もしも愛媛の地に降り立つことがあったなら、そんな目に見えない部分も、肌で触れて感じてみてくださいね。