香川でデジタルマーケターとして働く魅力
こんにちは。四国の転職エージェント、リージェントの小野です。
私はリージェントでWEBサイトの管理、広告運用、データ分析など、デジタルマーケティングに関わる仕事に従事しています。大学卒業後、東京でWEB系の広告代理店に勤めていましたが、5年前に香川にIターンして事業会社のEC管理業務を経験し、現在はリージェントで働いています。東京で5年間、香川で5年間、デジタルマーケティング領域で働いてきた中で、地方で働くメリットもデメリットも感じてきました。移住する前に思い描いていたイメージと違ったこともたくさんあります。
そこで今回は「香川のデジマのニーズ」「求められるスキルの違い」「地方で働くメリット・デメリット」の3つの観点から、香川でデジタルマーケターとして働く魅力をお伝えしたいと思います。
香川におけるデジタルマーケターのニーズ
都市部で「デジタルマーケティング 求人」と検索すれば、何千、何万という求人情報にアクセスすることができます。上流工程を担う戦略コンサルタントから、企画・実行・検証まで一通りの業務を任されるアカウントプランナー、広告運用に特化したオペレーターまで、多様な求人がズラッと並び、細かい条件を指定しても多くの選択肢が残ります。
一方、「香川 デジタルマーケティング 求人」と検索すると表示される求人は一気に減り、条件を指定し過ぎると検索結果が0件になってしまうこともあります。都市部にはWEBに特化したコンサルティング会社や広告代理店が何百とあり、多種多様な事業会社でデジタルマーケティングの部署が設けられていますが、香川ではWEBに特化した広告代理店は数社しかなく、デジタルマーケティングの部署を持つ企業も限られます。そのため、単純に求人数だけを比較すると圧倒的に選択肢は少なくなります。
では、香川でデジマのニーズはないのかというと、そうではありません。四国は年々人口が減っており、四国内のマーケットは狭まってきているため、実店舗や足を使った営業で売上を伸ばしていくことに限界があります。そのため、ECの活用やWEB上でのリード獲得を強化し、人口の多い首都圏エリアや海外のマーケットを開拓することで売上を拡大していきたいというニーズはあります。
特にコロナ禍によってリアルな販促活動が制限されたことで、これまでWEBに注力していなかった企業でもデジタルシフトを模索するようになっており、知識や経験を持った方を採用したいという需要は高まっています。また、商品力やサービス力はあるがプロモーションが上手くできていないという企業も多く、デジタルマーケティングのニーズは強いと感じています。
しかし、こうした求人ニーズはなかなか表にでてきません。ニーズはあっても具体的にどういった人材が必要なのか明確にできず、求人票として公開されていないケースが多いように思います。特にこれまでデジマが社内にいなかった企業にとって、どのような業界でどういった経験を積んできた方が自社に適しているのか、人材要件を言語化することは容易ではありません。また、求人の形になったとしても1名のみの募集となるケースがほとんどで、充足すれば求人はなくなります。
ニーズはありますが、「求人票として形にすることができていない」「1名のみの募集となり、常に求人があるわけではない」といった理由により、WEB上で探してもなかなか「いいな」と思える求人にたどり着けないのです。したがって、長期的に求人情報をキャッチアップしたり、転職エージェントに相談して求人の開拓を依頼したり、隠れた求人を見つけ出すための早めのアプローチが大切になります。
都市部と地方でデジマに求められるスキルの違い
一口にデジタルマーケターといっても、人によって得意とする分野は様々。戦略立案が得意、SEOが得意、WEBデザインが得意など、培ってきた経験によって核となるスキルはバラバラです。都内ではそうした各分野の専門家がチームを組み、予算の大きな案件を進めることが多いかと思います。しかし、地方は人も予算も限られているため1人に任される仕事の範囲が広く、戦略から運用まで少人数で進めていかなければならないケースがほとんどです。そのため、特定の分野に特化したスキルよりも、幅広い知識や経験を持つことが求められる傾向にあります。
また、特に事業会社のデジタルマーケティングに従事するのであれば、広さだけではなく、ある程度の深さも必要です。予算が限られ可能な限り内製化が求められるため、社内で完結できる業務を増やしていかなければなりません。例えば1,000万円の広告予算があり、その内20万円を使ってLPやバナーなどのコンテンツを作るのであれば外注しても問題ありませんが、30万円の予算でコンテンツに20万円使うことはできません。30万円を全て広告配信に分配するために、自前でコンテンツを制作・改修していく必要があります。
制作物だけではなく、ドメインやサーバー管理、SEO対策、SNS活用など、目的に応じてどんどん知識を取り入れていかなければならないため、新しいことに積極的にチャレンジする姿勢が必要になります。
地方で働くメリット・デメリット
様々な知識を得ることは大変ですが、プロモーションの隅々まで一貫して携われることはやりがいでもあります。周りにエキスパートがいないからこそ、何とかしようというマインドになり、経験を積むことで結果的にスキルアップにも繋がります。そうした「様々な経験を積むことができる環境」は、人材が限られる地方ならではの特徴だと思います。
また、「都市部で培ってきた経験やスキルが重宝される」という点も地方の良さかも知れません。業務工程が整っていない企業や、昔ながらのやり方から抜け出せなくなっている企業も多いため、ちょっとした改善方法を提案するだけで、とても喜ばれることがあります。それはデジタルに関わることに限らず、作業の進め方やツールの使い方など、細かい知識や経験を役立ててもらえることは多いように思います。
一方で、人材が限られているという環境は「デジタルマーケティングに関わる話題や悩みを共有しにくい」という悪い面も持ち合わせています。SEOの動向や入稿ツールの機能など、その分野に詳しい人や同じような課題に直面している人と話す機会が減るため、ノウハウやナレッジなどのインプットが少なくなります。都内にいた時はあまり意識しませんでしたが、移住してからそうした会話がいかに大事だったか、身に染みて感じるようになりました。
またカンファレンスなど、最前線の知見に触れるきっかけも少なくなります。普段は足を運ばない場所でも、知り合いが登壇することを知った、上司や同僚の付き添いで…といった理由で参加することもあるかと思いますが、地方に来るとそうしたきっかけが減ります。最前線の施策はコロコロ変わので、知識自体はそこまで重要ではないように思いますが、様々な考え方に触れて刺激を得ることはとても重要です。コロナ禍の影響もあり最近はオンラインで参加できるイベントも多いので、能動的に情報を集め、今までにない視点やアイデアを取り入れていく努力が欠かせません。
さいごに
香川にIターンして5年になりますが、移住を後悔したことはありません。それには大きく3つの理由があります。1つ目の理由は今回お伝えした「デジタルマーケターとしての能力が磨かれる」というメリットです。私はもともとリスティング広告の運用がコアのスキルでした。SEOや制作などにも関わりましたが、近くに詳しい方がいたため深く知る必要はなく、概要だけを知っていれば事足りました。しかし、地方に移住し必要に駆られて知識やスキルを習得したことで、出来ることは大幅に増えたと思います。
2つ目の理由は「地域との距離感が近づき、仕事の意義が感じられる」ことです。東京にいた時とは違い、香川に来てからはこの地域で生きているという実感を得る機会が増えました。人の多い場所では、仕事の付き合いもあり、ご近所でもあり、友人でもあるといった関係は珍しいですが、ローカルでは割とそういう関係は多いように思います。そうした身近な関係だと自然と役に立ちたいという気持ちも強まり、自社のサービスが地域に与えている影響や自分の仕事の価値を意識しやすくなります。
3つ目の理由は「自然豊かな環境で働ける」ことです。私は植物が好きなので、自然が多く空間が広いという地方の環境は大きな魅力です。デジタルマーケティングの仕事はどうしてもPCと向き合う時間が長くなるため、意識的にデジタル機器と距離を置く時間をつくることは大切だと思っています。地方では通勤中も何気ない風景に季節を感じることができますし、都会より土地が安く広いため、家でも様々な植物を自由に育てることができます。
都会で暮らすこと、地方で暮らすこと、どちらもメリットとデメリットがあると思います。私自身、昔の同僚と連絡を取るたびに「あのままキャリアを歩んでいたらどうなっていたんだろう」と考えることがありますので、Uターン・Iターンというのは本当に人生の転機なんだなと感じます。人によってもメリットと感じること、デメリットと感じることは違うため、早めに情報収集を始めて、様々な意見や体験談を知ることが大切だと思います。このブログもUIターン転職を考えるための判断材料の一つになれば幸いです。