東京から香川へ移住して6年。暮らしの変化と子育て環境のメリット、仕事について。
こんにちは。四国の転職エージェント、リージェントの小野です。
先日、「香川へIターンしたリージェント社員の体験談」というブログで、東京から香川への移住を決めた経緯や、Iターン転職する際に苦労したことを紹介しましたが、今回はその続編として、香川へ移り住んでからの暮らしや仕事の変化、地方暮らし7年目の私が感じる子育て環境のメリットについてお話ししていきたいと思います。
暮らしの変化
私が今住んでいるのは香川の西に位置する観音寺市。瀬戸内海に面しながらも、讃岐山脈を境に徳島県や愛媛県に接し、海と山に囲まれた自然豊かな環境にあります。総面積は約120k㎡で、東京23区で最も広い大田区の約2倍の大きさがありますが、人口は約6万人と大田区の13分の1程度。人口密度は低いですが、スーパーや病院など生活に必要な環境は一通り揃い、酵素ドリンクのワークショップを開く青果店、コワーキングスペースやトレーニングジムを兼ね備えた美容院など、活気に溢れた店もたくさんあります。
市内の移動手段は車。通勤もレジャーも車移動が基本になります。電車の駅も近くにありますが、本数は1時間に1本ほど。満員電車とは無縁で座れないことはほとんどありません。移動の手段が車なのか電車なのか、これは都会と地方の大きな違いだと思います。車が基本になることで買い物が気軽にできたり、一方でお酒を飲むことへのハードルがあがったりと、日々の生活に様々な変化を感じます。
買い物が気楽にできるようになったことで、色々な植物を育てるようにもなりました。トマトやオクラなどの野菜。ユーカリやアボカドなどの木々。東京に住んでいたときは植物を買って帰ろうなんて考えもしませんでしたが、車があれば鉢植えも土も農具も、買って簡単に持ち帰ることができます。日に日に増えていく植物の行き場を確保して、毎日水やりをし、収穫を終えた野菜を片付けてホッと一息。
植物との暮らしは四季を感じながらのんびりスローライフといったイメージを持っていましたが、実際は季節に追われて忙しいというのが本音です。少しでも目を離すと天候や虫にやられてしまうため、毎週汗をかきながら何かしらの世話をしています。でも、だからこそ自然を体感できますし、東京に住んでいた時は感じられなかった光や匂いに触れることで生きている実感が得られます。
都内にいたときも、そうした自然との繋がりは無意識に求めていたように思います。長期休暇のたびに自然の多いエリアへの旅行を計画し、行き帰りの道中に疲れながらも、喧騒から逃れることに時間を費やしていました。それでも、家の中にまで自然を持ち込んだことはありません。都会でも植物を育てることはできたと思いますが、そういう気持ちにならなかったのは、他にも様々な刺激に溢れていたからだと思います。テレビやSNSで見た新しい店やイベントに行ったり、映画や芸術、スポーツを楽しんだり、時間の使い所はいくらでもあります。地方ではそうした刺激の選択肢が圧倒的に減ります。人によっては、「地方は時間を持て余す」ということになるのかも知れませんが、他に刺激がない分、身近なところで面白さを見つけようと身の回りに目がいきます。家庭菜園など、自分の力で楽しさを生み出していこうとする気持ちが強くなったことは、移住による変化の一つです。
子育て環境のメリット
暮らしの変化は、そのまま子育て環境のメリットにも繋がっています。3歳、5歳の子ども達はいつでも大声。歌っても泣いても、大きな声が響き渡ります。他の家の子どもが大声を出していても全く気になりませんが、自分の子どもの大声は周りに迷惑かけていないかと強いストレスになります。地方は空間が広く、近隣の家との距離が離れているため、そうした騒音のストレスを軽減してくれます。移動に関しても公共交通機関ではなく車がベースとなるため、どれだけ騒いでも気になりません。子どもも荷物も汚れも、とにかく車に詰め込めば何とかなるという安心感は、子育ての大きなメリットになっています。
畑に囲まれた自然豊かな環境は、子ども達の遊びの幅も広げてくれます。庭を掘って砂場を作ってみたり、プールの水を流して川を作ってみたり、雑草を集めてお店屋さんごっこをしてみたり。遊べる施設は少ないですが、想像力を働かせて工夫をすれば、遊びはいくらでも作り出せます。都内に住んでいた時、友人の子どもと木更津まで潮干狩りに行ったことがありますが、海までの歩道や砂浜を埋め尽くす人の流れに圧倒されて、アサリを取ることに集中できませんでした。今は広々とした砂浜で、貝を集めるだけではなく、カニを捕まえてみたり、砂で山を作ってみたりと、思いつくままに遊ぶことができます。地方では周りに気を使うことが少なくなる分、子どもが自由にできる空間が広がるように思います。
また、義父母の近くに移り住むことで、子どもにとっても私たちにとっても様々なメリットがありました。わが家はフルタイム&リモートで働く共働き世帯。朝、子どもを幼稚園と保育園に送り届けたらすぐに仕事が始まり、仕事が終わった瞬間に子ども達は帰ってきます。夜間や休日に仕事が入ることもあり、家事をこなす中でじっくり子どもの相手をする時間は限られます。そんな生活をしていると、子どもの相手をしてくれる家族の存在は本当にありがたいものになります。私たちリージェントにも「身寄りのいない場所で子育てしていくことに限界を感じた」「両親のサポートを得るために地元に戻りたい」といったご相談をいただくケースがありますが、Uターンや妻・夫の地元にIターンをする上で、家族のサポートというのは何より大きなメリットになるように思います。
仕事について
東京から香川へのIターン転職を決めた時、当時の同僚や先輩の意見は賛否両論でした。「よく決断した。自分もやり直せるなら地元に戻りたい」といった意見もあれば、「地方は得られる情報の量が減る。経験できる仕事の幅も質も落ちるのではないか」といった意見もありました。実際に地方にIターン転職してみると、確かに得られる情報量は減ります。意識的にキャッチアップしていかないと、最新のトレンドに置いてかれてしまい、視野が狭まってしまいます。そのため、こまめに業界のニュースサイトを見たり、他社の動向をチェックして情報を取り入れていくことが欠かせません。
一方で、経験できる仕事の幅はむしろ広がっているように感じます。東京では処理するタスクの量が多く、社内外に専門職との繋がりも豊富にあったことで仕事の振り分けができていましたが、地方では1人の人間がこなす仕事が幅広く、複数の仕事を兼務することが当たり前です。今まで知識レベルで把握していたことを、実践レベルまで引き上げる努力が求められますが、「なんでもやる」という気持ちがあれば、仕事の幅は広がりますし、スキルアップにも繋がっていくように思います。
仕事の幅が広がれば、新しいことにチャレンジできる機会も増えていきます。都会に比べて規模は小さくなりますが、今まで外部に依頼していた作業を手元で行うようになり、最初から最後まで一貫して関わることで、仕事に対する責任感も増していきます。地方にはちょっとしたことで変えられる仕組みや環境がたくさんあるため、チャンスだと捉えて臨めば、いくらでも仕事の質は高めていけます。
暮らしも仕事も、刺激や情報が少ない分、自分で考えて生み出そうとする意識が強くなったことは共通した変化だと思います。東京にいたときは、「このままでいいのか」という漠然とした不安を感じながら、刺激や情報に流されるように毎日を過ごしていましたが、香川に来てからは、地に足を付けて日々の生活を送ることができており、漠然とした不安も感じなくなっています。それは、暮らしも仕事も自分の意思で動かし、影響を与えられる範囲が広がったからかも知れません。
UIターンは住む環境が変わるため、生活や考え方を変化させていく必要があり、不自由を感じることも増えます。それでも「暇、やりがいが無い」と決めつけるのではなく、発想を変えてそこにある資源を最大限活かしていくことができれば、地方でしか味わえない暮らしの楽しさを見いだしていけるように思います。